雪と断罪とそして、紅
「はい?」
「私はまだ二人を忘れられない。愛してる」
それもそうだ。
簡単に忘れられるわけがない。
すると、アリスさんは足を止めて俺の方を見た。
「……こんな私でも良いの?」
まっすぐ俺を見据える彼女の目は暖かかった。
俺はアリスさんの手を握り返すとそのまま彼女を自分の方へ引き寄せる。
「俺は貴女の全てを受け入れます。貴女が誰よりも愛してますから」
抱き締めた彼女が苦笑を漏らす声が聞こえた。
そして──。
「なら、受け入れてもらおうかな」
彼女の腕が俺の背中に回されるのを感じ、俺は彼女を強く抱き締めた。
全てを受け入れるということを示すように──。