雪と断罪とそして、紅
「父さん!何で姉さんを追い出したんだ!?」
普段は出さない怒鳴り声をあげる。
僕はそれだけこの人に怒っていた。
姉さんを追い出したのは間違いなくこの人だから。
「なんだ、お前。大声が出せるんじゃないか」
新聞が読みながら父さんはそんなことを呟く。
感心したような声だけど、父さんは僕を見ない。
「質問に答えろ!何で姉さんを追い出したんだ!?」
「アイツはお前を女々しくする原因だからだ」
ようやく顔を上げた父さんの目は冷たかった。
そして、僕は気づいた。
姉さんが追い出されたのは父さんの横暴さに拍車がかかってのことだと思った。
でも、実際は僕が原因だった。
僕が女の子らしいことを好んでいたから……。
姉さんが僕の味方をしたから……。
僕はその事実に気付き、姉さんを探そうと家を飛び出した。