Flower love
「あ、これ、ありがとうございました」
あたしは、ロアの上着を着たままだった。
「あぁ、そこに置いといていいよ」
あたしは、上着を丁寧に畳んでソファに置いた。
「はい。リンちゃん、どれが好きなのか分からなかったから、適当に買ってきちゃったけど……」
「あ、あたし、何でも食べるんで大丈夫です」
「良かった。あ、そうそう、ロウンさんには一応電話しといたからね。凄く心配してたみたいだよ。最初、家に電話しても出なかったから携帯に電話したら、凄い息切れてたもん」
あたしはそっと目を伏せた。
気軽に外出できる身ではないのに、必死であたしを捜していてくれたのだろう。
悪いことしたな……。
「明日、ちゃんと帰しますからって言っておいたよ? ……ちゃんと帰ってくれるよね?」
ロアは物凄く心配そうにあたしを見つめた。
あたしは苦笑して、
「大丈夫です。ちゃんと帰りますから」
ロアを安心させるように、にっこりと笑って頷いた。
「偉い偉い。よし、食べようか」
ロアも、あたしと同じような笑みを浮かべて椅子に座った。
あたしは、ロアの向かい側に座る。
「いただきます」
「どうぞ。僕が奢ってあげることなんて、滅多にないんだから」
ロアは得意げに、胸を張ってこう言う。
あたしは苦笑を浮かべた。
「そうですね、ありがたくいただきます」
「あ、そうだ、お酒があるんだよ」
と、ロアはコンビニの袋から缶のお酒を取り出す。
「あ、あたしお酒苦手なんです……アルコール弱くて」
缶のチューハイとかでも、半分まで飲めば酔っ払ってしまうのだ。
一缶まるごと飲めば、もうふらふら。
「辛いことがあったら、お酒で忘れるのが一番」
ロアは、にっと笑ってあたしに缶の酒を差し出す。
もしかして、ロアはそうやっていつも辛いことを忘れてきたのか……?
「……じゃあ、一缶だけ」
あたしは、戸惑いながらもその缶を受け取った。