Flower love
「ロアさん……」
「ん?」
「あなた、本当に何者なんですか……?」
「秘密」
ロアは、にっこりと笑ってこう言った。
「じゃあ、星人くらい教えてくださいよっ」
「うん、それも秘密」
あたしはため息をついて、再び缶に口を付ける。
「僕のことより、リンちゃんのことが知りたいなぁ」
ロアの表情は、口はにっこりと弧を描いているが、目は真っ直ぐあたしを見つめていた。
何か探るような表情で、じっと見つめてくる。
あたしは思わず目を逸らした。
「何をですか?」
「じゃ、ベタな質問から。好きな男の人のタイプは?」
「な、何でそんなこと訊くんですか!」
あたしの顔は熱かった。
お酒を飲んでるからかも知れないけど、それ以上にきっとロアの質問が恥ずかしかったのかも知れない。
「聞きたいからに決まってるでしょ」
だが、ロアは表情一つ変えずに平然とこう言った。
あたしはため息をついて、
「……優しくて、頼りになる人です。子供みたいな笑顔で、いつも自分より第一に人のことを考えてる……そんな人がいいです」
あたしの顔からは、蒸気が出るんじゃないかと思うくらい熱い。
照れ隠しに、一気にお酒を飲んでおにぎりに噛り付く。
「ラウルって男はそんな性格だったんだ」
あたしはロアの一言でむせ返った。
「……ロアさんって……優しいんですか……? それとも意地悪なんですか……?」
「それは、君が判断することでしょ」
「そうですけど……そんな傷口を掘り返すようなこと、言わなくたっていいじゃないですか……」
「ありゃ、もうとっくに吹っ切れてたのかと思った」
嘘だ。
あんたの笑顔を見れば、ただ単にからかいたかっただけってのがよく分かりますよ。
「……ごちそうさまでした」
あたしは、両手を合わせてこう言った。
「お酒、残ってるでしょ。飲み終わるまで寝かせないからねー」
そう言うロアは、とっくに飲み終わっているらしく、缶を両手で潰してゴミ箱に捨てる。
「そんなぁ」
「大丈夫、夜は長いから」
あたしはため息をついて、お酒をもう一度一気に飲む。
お酒は、まだ缶の三分の一は残っていた。