Flower love
「時差もないから便利よねー」

フィルシアはサングラスをかけて空を仰ぐ。

時差ボケ防止のために、時間も出発した日と同じ時間になるのだ。

「おい、遅いぞ」

と、空港の外では知らない人たちが二人来ていた。

「ごっめんなさぁーい。ちょっと寄り道してたら遅くなっちゃった」

フィルシアは両手を合わせて謝る。

一人の男性は三十代くらいの火星人。

もう一人の男性は二十代後半くらいの金星人だった。

「フィルシア、この子は?」

機械を持った男性があたしに気付いて問う。

「あ、この子はラウルの彼女よ。ライバルが多くて、捕まえてくるのにどれだけ大変だったか」

フィルシアはため息をついて肩を叩いた。

あたしは単刀直入に言われ、赤面する。

「あ、あの、すいません、来てしまって」

正確には連れて来られたんだけどねと、心の中で思う。

もう正直薬の効果は切れたからどんなこと思ってても大丈夫。

「へぇ、君が噂のラウルさんの彼女? 可愛いねぇ! 僕、レイクっていうの。今度お茶しよう」

と、金星人のラルクに誘われる。

「こら、人の彼女誘惑するんじゃないのっ」

フィルシアはレイクの頭を叩いた。

「あたし、リリーンです。皆からはリンって呼ばれてます」

「そう、撮影現場見に来たの?」

このレイクって人、こりずにあたしの手を握って問う。

「はい、まぁ」

あたしは苦笑しながら答えた。

「レイク、ラウルに言いつけるぞ」

と、火星人の男性が横目でレイクを見つめる。

「へいへい」

レイクは名残惜しそうにあたしの手を離した。

「俺はイル。好きに呼んでくれ、お嬢ちゃん」

イルは愛想良く微笑んだ。

「あ、はい」

「じゃ、行きましょう。ラウルたちはホテルでしょ?」

「あぁ、先に行ってる。きっと遅いって怒られるぞ」

レイクは車の方に向かって行く。

「大丈夫。リンちゃんがいるから」

フィルシアはにっこりと微笑んだ。
< 64 / 208 >

この作品をシェア

pagetop