Mermaid ~人魚姫の物語~

恋と覚悟


私はお城を飛び出し、洞窟へと来ていた。

岩の上に座り本を開く。

お父様にひどいことを言ってしまった。

わかっているのに...

お父様がどれだけ私を大切にしてくれているのか。

国王として忙しい中でもこんな私を心配してくれている。

それなのに...

涙がこぼれる。

どうすればいいかわからない。

夢の正体も知りたい。

人間のことももっとたくさん知りたい。

彼にも会いたい。

彼のことを思うと胸が苦しくなる。

この想いはなんなの...?

「どうすればいいの...?」


「そんなの簡単じゃないか」

「君が人間になればいい」

と突然どこからか低く、不気味な2つの声が聞こえてきた。

「誰なの?」

声のした方に問いかける。

しかしそこには誰もいない。

「人間になれば全てがわかるんだ」

さっきとは違う方向から声がする。

「でも...」

「君は知りたいんだろ?」

「それは...」

「もし人間になりたいと思うなら海の魔女のところへ行けばいい」

「海の魔女?」

「あの方ならきっと君を人間にしてくれるだろう...」

不気味な2つの声がどんどん遠くなっていく。

「もう一度、彼の元へ行ってごらん」

「そうすれば答えがわかる...」

「待って!」

私は声の後を追い洞窟を出た。

しかし周りを見渡しても誰もいない。

さっきのは何だったのだろうか。

誰なの...

海の魔女...

『もう一度、彼の元へ行ってごらん』

『そうすれば答えがわかる...』

本当にこの言葉を信じていいのだろうか。

だけど...やっぱり知りたい
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