「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜
「…ほら、こうして鍵を壊すスコップも持ってきましたので、こんな鍵はぶっ壊してしまえばいいのです」
錠前をスコップでガンガンと潰して、
「これで、お嬢様は自由の身ですから」
と、鍵を遠くへ放り投げた。
「……逃げ出されても、もう追いかける者はいないでしょう。だから何も気にしないで、行かれてください」
「……サム、いいの……?」
まだこれがどこか現実とも思えなくて尋ねる。