「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜
離れていく彼の温もりに、
「……あなたを恨むわ。……結婚をする前に、想いを遂げてもくれなかったあなたのことを……」
言うと、リュートは一瞬立ち止まって、
「……恨まれても仕方のないことだと、自負しております……」
背中を向けたままで口にすると、部屋から出て行った……。
「……恨むわ。……せめて、好きな人と最後に添い遂げたかったのに……」
彼の匂いが残る羽根枕に顔をうずめて、
「……お互いに、好きだとわかっているのに、どうして……」
届かぬ思いに泣き崩れた……。