幼馴染の 愛でられ姫
(はぁ この扉の向こうに伊織が……)
コンコンコン……

『失礼致しま...

ぐぃっ

腕を掴まれ
『っっ!!』

気がついた時には
目の前に ふわっと 爽やかな香りが鼻につき
一体何が起こったのか ……

頭上から声が……

『美桜……元気、だったか?』

『い っ 社長!!?』

『2人きりの時は名前で呼んで構わない
美桜… 会いたかった ──』
ぎゅっ

『っっ!!』

美桜を一層きつく抱きしめ
『ただいま…美桜』

『おかえりなさい…伊織っっ』

美桜の目から涙が零れる。

よしよし と頭を撫でてくれる伊織は
あの頃のままで、けれど 抱き寄せられた
腕に 胸に 昔のような 幼さは感じられず
意識して ドキドキ 恥ずかしくなる……

(こんな素敵な人が 社長であり、伊織。
私は 成長出来てるかな…。
伊織には どう 見えているだろうか)
不安は 拭えない……けど

『伊織… 会いたかった
ずっと…ずっと 寂しかったょぉ 』
涙が止まらない

『美桜 …
沢山 待たせて すまない…
やっと やっと 帰って来られた
もぅ、離さない 絶対に』

ぎゅっ……








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