紫陽花とネバーランド
いざ行かん
小さいころから、水が好きだった。
夏のプール、海、川、雨、普段のお風呂。

水に触れていると、嫌なことが全部自分から溶け出していくような気がしていた。

だからいざそれを考えたとき、水に呑まれてこの世からフェードアウトしたいと思った。

死ぬ、じゃなくて、消える、みたいな。


あたしは別に死にたい訳じゃないんだ。ただ、消えたいだけ。

全部無かった事にして、お父さんとお母さんのもとにはあたしじゃない誰かが生まれれば良い。
 
とりあえず今まで関わってくれた人たちごめんなさい。


「ごめんなさい、さよなら」


独りつぶやいて、一歩踏み出した。
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