笑顔だけが可愛い。


「おーい、何見てるの?」
「えっ、、うわぁ!」
「驚かせたつもりはないんだけど」



 待ちくたびれた千晴が戻ってきたようだった。
 いきなりひょこっと姿を現して目の前で手を振るから、びっくりして情けない声を上げてしまった。



「ごめん、ボーっとしてた」
「ふーん。見てたのはあの女の子達?何かあった?」
「いや、別に。可愛いなあ、と思って」
「可愛い…え?咲良が可愛いって言った?女の子に向かって?お世辞でもなんでもなく?」
「そうだと思うけど?」
「なんで言った本人が疑問形なのさ…」



 千晴は身振り手振りであきれて見せる。なんというか、めっちゃ失礼。今日の千晴はとても大げさに反応してる気がする。いや、わざとなのか。


 ていうかそんなにおかしいか?男が女の子に可愛いって言って。
 いや、俺だからおかしいのか?そうかもしれない。だって俺は美少女だから。


 それにしてもやっぱり馬鹿にしているな、コイツ。
 見た目はふわふわした美少年だけど、…やっぱり悔しいから美は抜いておこう。見た目はふわふわした少年だけど、物腰柔らかく心に刺さることを言うときがある。
 とても楽しそうに。きっと千晴はSだと思う。絶対そうだ。



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