待ってろあおはる
突然思い立ったにしては、なかなかいいねー。
今日は、ここでゆっくりしようか。

先に部屋に入った先輩が、振り向いて笑った。
まだ充分な日差しが入り込んで、
先輩ごと、まぶしい。

キレイなコテージ風の部屋の中、2人で過ごす
のかと思うと、顔がニヤけたまま戻らない。

ちづるちゃん、顔がやらしー。

な、なんでですかっ!そんなことないですっ!

慌てるあたしに、ゲラゲラと笑い、
おいでおいでと、手をひらひらする。

そんな口尖らせると、食べちゃうぞ!
と、言ったかと思うと、一瞬だけあたしの
唇にふれる。

もう!
相変わらず子供扱い。でも、今はそれも
心地いい。
思わず、あたしから先輩を抱きしめた。

あったかい…。
つぶやくと、あたしをすっぽりと包むように
抱きしめた先輩の声が、上の方で聞こえた。

可愛いね。ちづるちゃん。
ほんとに…。

こんな小さいんだねぇ。
力入れたら…折れそうでさ。
ちょっと怖くなるよ。

痛くない…?と、遠慮がちに聞く。

全然。そんなんじゃ折れませんよ?
と、上を見上げると。

力いっぱい抱きしめて、キスの雨が…
あたしを包んだ。

息が…できない…。
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