待ってろあおはる

先輩が…腕を広げて。

そろそろ…抱きしめさせてよ。
と、照れながら言う。

素直に、腕の中に入ると。

ぎゅーっと力いっぱい抱きしめられた。

ちづる…会いたかった。

うん…あたしも。

ほんとに?と、いたずらっぽく聞くから。
たぶん?と、返すと。

言ったな?と…
あたしの唇をかむようにキスをする。

そして、またぎゅっと抱きしめたまま…

ちづる…俺、今日話があるんだ。
そのまま聞いて。

あたしの大好きだった…
低くて甘いあの声が、耳元で続ける。

今まで、俺たちなんとかやって来たけど。
もう、この状態…終わりにしたい。

え??と、体を離そうとするあたしを
ぎゅっと捕まえたまま…。



真崎ちづるに…なって欲しい…。


え?…今…なんて…?

今度は…あたしの体を捕まえなかった。

言葉が出ないまま、見つめるあたしの目を。
また大きな手で隠して…。

その目で、見られると俺弱いんだって…。

ちづる…ダメ…かな…。

先輩の声がだんだん小さくなる…。

あたしの目を隠した大きな手を、
両手でずらして、先輩の顔を見ると…。

頼りなげな、不安そうな目をしてる。

ダメ。

え…。うそ…。


ウソだもん。ふふ。

…なりたい。
すーーごく、なりたいっ!

ほんと!?やった!
がばっと抱きしめそうになる腕を、おさえて。

でも…ちゃんとあたしの目を見て言って?

え〜…!!
ち、ちづるぅ…
んー…わ、わかった。

じゃ、じゃあ、一回後ろ向いて。と言うから。

背を向けて待ってると…
何やらゴソゴソ 音がする。

いいよ。と、言われて振り向くと…。


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