社会は私に死ねと
うつ病と診断されてからのネムは、以前と変わらず部屋に引きこもる生活を続けた。

外出するのが億劫だったのだ。

何もしたくない。

歩きたくもない。

ずっと寝ていたい。

とにかく体がしんどかった。

外出するのは二週間に一度の通院の日だけ。


今日はその通院の日であった。

幸いにもネムが通っている心療内科は、家から徒歩圏内の病院であった。

ネムの家は東京のベッドタウンにあり、中々便利なところだ。

少し歩けば最寄り駅にショッピングモール、居酒屋、歯医者、何でも揃った。

心療内科はネムの最寄り駅の駅ビルに入っていた。

ネムは駅へ向かう最中に、少し気温の変化を感じた。

(そうか・・・私が休んでいる間に、もう世間は春がやってきていたんだなあ・・・)

ふと周りを見渡すと、学校帰りなのか、これまた今から授業なのか、よくわからないが、とにかく大学生がたくさんいた。

ネムの地元の人たちは、進学となるとだいたい東京の大学を視野に入れる。

つまり、駅に行くと元クラスメイト達と再会してしまうかも・・・。

それだけは、絶対に嫌だ!!!

嫌だ!嫌だ!

あんな輝かしい毎日を送っているやつらと、会って何を話すと言うんだ!

話すのはともかく、もし、今の自分の身分が知られてしまったら・・・

受験失敗

うつ病

引きこもり

無職

こんなこと、話せるはずがなかった。

ネムはなるべく知人に会わぬよう、はや歩きで病院へ向かった
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