その先へ
「だいたい何なんだよ、いきなり。今まで何も言ってこなかったくせして」
「言えなかったんだよ!...言いたくても聞きたくても出来なくて、怖くて...」
「じゃあ何で今さら言うんだよ!」
「もう28なんだよ!」


ヒステリックに叫ぶ私にうなだれていた頭をあげる奏斗。



「もう28なんだよ。周りはみんな結婚して子どももできて...7年付き合ってる恋人がいるんだよ?私だって、私だって結婚したい、って、そう思うのは当たり前でしょ?」
「それって、周りに合わせて自分も結婚したいだけだろ?」


そんな冷たいセリフを言った奏斗の目は私を軽蔑してるようで


「ちょうど長く付き合ってるオレがいただけで、ただ単に結婚したいだけだろ?ならオレじゃなくてもいいんじゃないか!」



糸が切れた気がした。

私と奏斗の間に繋がっていた細い糸。

それがプツンと音を立てて切れた気がした。


『もう寝る』と寝室に入っていく奏斗の背中が遠くに見えた。
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