その先へ
それからも揉めに揉めて両親は離婚した。
慰謝料がいくらかとかはわからないが、代理人をたてて話し合いをしたようだ。


親権は父親になった。母親は拒否した。
かといって、父親がすすんでオレを引き取った訳じゃない。
父親はすぐに愛人だった若い女と暮らしだした。
オレは、父親の両親、祖父母と暮らした。


祖父母は優しい人たちで、厳しい人たちでもあった。
下手すれば道を踏み外してもおかしくなかったオレを真っ当な道を歩ませてくれたのは祖父母のおかげだ。


だけど、恋愛については別だった。
愛なんてホントに信じられなかったし、信用できなかった。


自分から好きってなることはなかったけれど、告白されて別に嫌ではなかったら付き合った。本気で深く付き合うつもりもなかったから、それで、だいたいが相手から去っていく。それでも、やっぱりね、しか思わなかったし、追うこともない。


身体だけの付き合いをするのも面倒だったからそういうのはしなかった。ちゃんとその時『彼女』とよばれる相手としかしなかった。


そんなオレと長くいてくれたのが円香だったんだ。




< 28 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop