その先へ
気を取り直し、余計なお世話かも、と思いながらも部屋を片付け始めた。
洗濯機をまわし、キッチンを片付ける。寝室もぐちゃぐちゃで、シーツも交換し洗った。

(いい天気で良かった。これなら帰るまでに乾きそう)

一通り終わると、クローゼットをあけ、自分の荷物を整理し始める。

当たり前だけれど、私の荷物の大半は、奏斗との思い出のものばかりで。これは、誕生日にもらったワンピース、これは旅行に行ったとき、記念に買ったピアス。

思い出す度に手がとまり、涙をこらえていた。

そんな事をしていれば当然作業は進まず、時間は過ぎていくだけ。

何も考えるな、そう思ってもこらえきれない涙が頬を伝い落ちる。

そんな時、玄関から音がした。



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