その先へ
「奏斗!?」

オレは円香がまとめた荷物をひっくり返していたのだ。

「ちょ、ちょっと奏斗!何してんの!」
「嫌なんだよ!」

叫んだオレに円香がひくついた。

「何荷物なんてまとめてんだよ!これ以上オレから離れようとするなよ!」

円香の瞳からどんどん涙がこぼれている。それを見てオレの感情はますますこみ上げてきて、

「円香がいないと嫌なんだよ。円香がいないとさみしいんだよ、不安なんだよ。そばにいて欲しいんだよ!」
「奏斗...」

ぶちまけた荷物を足でどかしながら円香に近づいていく。

「でも、でも、奏斗...」

ぐしゃぐしゃの顔の円香が首を振る。オレを拒もうと必死に。

「奏斗、今、だけだよ。今さみしい、だけで、そのうち、私が、いなくて、も平気、になる、よ」
「ならない!一生平気になんかならない!」




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