その先へ
「奏斗」

円香の手が伸びてオレの手を握る。その顔は泣きながら微笑んでいて、

「奏斗、私より先のことまで考えてくれてる」
「えっ...?」
「私、おじいちゃんおばあちゃんになっても奏斗の隣にいたいって思ってた。でもさいごの日までは考えてなかったなぁ」

そう笑いながら立ち上がって目の前にくる円香。

「...詰めが甘いな」
「ホントだね。...でも。私も私のさいごの日まで奏斗といたい。奏斗のそばにいたいよ」

オレは円香を強く抱き締めた。

「円香、円香」

円香もオレの背中に腕をまわし、力強くしてくれた。

「...やっと、同じ未来、奏斗と見れた...」
「ん。ごめん、泣くな」
「奏斗だって泣いてる」
「だなぁ、あーカッコ悪っ」

二人で笑いながらキスをした。

温かい幸せなキスをした。



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