極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「四年前のスカートを大切に穿いてるだけです」


エレベーターを一歩出た所で立ち止まり、彼に背中を向けたまま踏ん張った。


「ジムとかエステとか流行にホイホイ──」


しかし、何も考えず暴走したせいで、早くもそこで失速した。

ホイホイ、何?
自分で自分に突っ込んだ。
今はスカート丈の話であって、セレブ云々の話ではなかった。

それに、高梨さんにとっては論戦なんて百戦錬磨だろう。
どう頑張ったって勝てっこないのだ。


「みっ、見苦しい脚で申し訳ございませんでした!」


収拾がつかなくなった私は捨て台詞を吐くと、彼の方を見もせずに駆け出した。


「ちょっと待て」


後ろで声が聞こえたけれど無視し、これまたかなり前に買って大切に手入れしてきた古いハイヒールを踏み鳴らして玄関に飛び込んだ。


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