極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
中島さんはさらに続けた。


「あと、彼は各事業所もよく回られますね。業務の邪魔にならないよう、夜間が多いですが。だから遅いんですよ」


もしかして、私が腰を痛めた時に通りかかったのもそれだったのかもしれない。


「お父様の社長は対外的なお付き合いがお好きで、あまり社内視察をなさいませんが、坊ちゃんは勉強熱心ですよ。そういう所は先代社長に似ておられますね」


大名行列のような社長一行がうちの事業所に来たことは記憶にある。
この五年間で一度きりだ。

いかにも営業出身社長という印象で、上辺だけの質問を形だけ投げたあと、ろくに説明も聞かずに去っていった。
待ち受ける私たちはてんやわんやの騒ぎで準備したので、あまりの呆気なさに拍子抜けしたものだった。




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