極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
キスが未遂に終わったあの夜からは一週間が過ぎている。
翌朝、キッチンで顔を合わせても、高梨さんは普段通りの態度だった。

どう挨拶してどう振る舞うか、頭の中で何度もシミュレーションしていた私は肩透かしを食らった気分になった。
なのに、私を押さえつけた時の彼の表情や身体のたくましさは私の心と身体に刻み付けられていて、どうしても消えてくれない。


キスのこともメークのことも、意識しているのは私だけ。
高梨さんにとってはごく小さな出来事だったのかな……。

そう考える度に胸が苦しくなった。


好きになんて、なってない。


呪文のようにそう唱えているくせに、毎日私は彼にもらったリップクリームを塗り、おまじないのように香水をつけていた。



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