極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
しかし、彼がこちらを向いたのは、相槌を求めた訳ではなかったらしい。
彼はゆったりと私を眺めながら、次の一言を放った。


「森下柚希という女性だ」


なぜ私のフルネームを知っている?
コーヒーを飲もうとしていた私の腕が中途半端な位置で止まった。


「とりあえず一週間で。状況については後で僕から先方の部長に連絡を入れる」


グレーが限りなく黒に近づいていく恐怖に慄きながら、ただ彼の顔を見つめ返した。

このじわじわとやられる感じ。
真綿で人の首を絞めるのが好きなタイプだろうか?


「僕は今から出るので少し遅くなる。悪いが事業所の始業時間までに届け出を入れておいて」


通話を終えると彼は立ち上がり、窓に歩み寄ってカーテンを開けた。
眩しい光が寝室に差し込んでくる。


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