極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
それでも一度だけ切り出してみたことはある。
でも、まだ壁伝いにしか歩けないことを指摘され、「所属部署にも届けを出してあるから休め」とあっさり却下された。


結局、居候開始から五日ばかり過ぎた日、何とか壁を伝わずに歩けるようになった私は、彼の留守中にそっとリビングに行き、テーブルに「ありがとうございました」のメモ書きとともに、お世話になった間の食費のつもりで財布から貴重な一万円札を取り出して置いた。

私の服は洗濯された状態で畳んであったのでそれに着替えると、まだ痛む身体でよたつきながら、彼のマンションから脱出したのだった。



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