指で紡ぐ愛のうた

4月21日

ある日、私はふざけたLINEを彼に送った。
【黒田氏、彼女はいらっしゃいますの?】
送ってから後悔した。
ここでいるって返事が来たら振られたも同然だ…。
一ピロリン。
う、わー。
恐る恐る画面を見ると、
【なんでですか?笑】
いなかったら素直にいないって言うよな…。
いるのかな、この反応は。
心臓が潰されたような感覚になったが、明るい先輩を装う。
【お、その反応はいるのかな?笑 もしいるならいじり倒してやろうと思って笑】
ここまで送ってため息をつく。
そりゃそうだよ。
あんなに人懐っこくて、優しくて…。
一ピロリン。
【あーそういうことですね笑】
あ、濁した。
やっぱいるんだ…。
【先輩の命令です。答えなさい】
【あー、それはズルいです笑】
【答えろー!笑】
心とは裏腹に指が勝手に動く。
【いちおーいます笑】
わかってはいたけど、頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
【同中か】
【まぁ、はい笑】
幸せそうだな。
流石に辛くなって、もう返事はいいかなーなんて思ってたら、続けて送られてきた。
【先輩はいないんですか?!笑】
いないもなにも、私は君が好きなんだよ…?
咄嗟にそんなことを口に出していた。
部屋に誰もいなくてよかった…。
【どっちだと思う?】
【います!笑】
【何を根拠に笑 君は馬鹿か】
【え、なんでですか!笑】
【いないよ、彼氏】
そこまで送ってさらに虚しくなった。
返事が返ってくるのが怖くて、話題をそらす。
【応援してるから、彼女さん大切にしなね笑】
そして送ってから後悔。
何応援してるんだ。
馬鹿は私だろ。
悶々としているうちに、気づけば朝になっていた。
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