はじまりと終わりをつなぐ週末
「私って養子なの? お父さんとお母さんは、本当の両親じゃないの?」そう何度も聞こうとしたけど、聞けるわけない。もし「そうだ」とハッキリ認められてしまったら、私の居場所がなくなってしまうような気がしたから。


 でも、もうすでに私の中でこの家は居心地のいい場所ではなくなっていた。いつも通り振る舞っているつもりでも、両親に対する態度はどこかぎこちなくて、二人は私をどう思っているんだろうなんて、そんなことばかり考えてしまう。


 これまで悪いことをした時は当然怒られてきたけど、その怒りは私のためではなく、ただ単に本当の子供じゃないからムカついて怒っただけなのかもしれない。そんなふうに思ってしまう。


 今までなんでも話せていたお母さんには、あまり学校のことは話さなくなった。委員会の仕事のことも話していない。私に向けられる両親の言葉の一つ一つが偽りなのではないかと思ってしまう自分が、どうしようもなく嫌だから。怒りにも似た激しい悲しみに支配されてしまうことが、どうしようもなく辛かった。


 学校の中ではみんなに合わせて顔色を伺って自分を隠しながらつまらない高校生活を送っているうちに、本当の自分がどこかへ消えてなくなってしまうような気がした。でも今は、本当の自分がなんなのかさえ分からない。


 自分が存在する意味は?

 誰かに必要とされているの?

 自分を本当に愛してくれている人はいる?


 私は……誰なの……?


















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