恋をしようよ
一通りみんなに祝ってもらって、いつものように飲んで食べてちょっと騒いでお開きになった。

今日から俺とナツは、俺の実家に住むことになる。
毎日一緒にいられるんだと思うと、こういう生活をずっと望んでいたんだなと心から思う。

タクシーを拾いに、大通りまで歩いていく。
自然と2人で手を繋いで、夜空を眺めていた。

「今日からはずっと一緒に暮らすんですね、なんだかまだ夢の中みたいです。」

ナツは嬉しそうに言うから、俺もなんだか夢の中にいるような気持ちになっていた。

「さっき桃と何話してたの?」

「初めて生け花を教えてもらったときあるじゃないですか、あの時からずっと私がお嫁さんに来るってわかってたって言われちゃいました。」

相変わらずあいつは小さい頃から鋭いなと思う。
確かにあの日にプロポーズしたのがきっかけだけれども、そのあとだらだらとただ付き合っていくことになるとは思わなかったしな。


これからナツには色々と苦労をかけることになるだろう、ライターの仕事も結婚を期に出版社を退職してフリーですることになったらしい。
ぶっちゃけ結婚に踏ん切りが付かなかった要因のひとつが、彼女がきっと仕事を続けたいだろうと思っていたからだった。

付き合って五年の間、そういった事が一つ一つ少しずつ代わってきたのかもしれない。

結婚はゴールなんかじゃない、ここから新しい2人の生活が始まるんだ。



東京の夜空は、ぼんやりとしか見えないけれど、その向こうには幾万もの星がきらめいていることは知っている。

「月が綺麗だな…」

「ええ、月が綺麗ですね…」

雲に隠れて見え隠れする月を眺めながら、お互いを見つめ合うのではなくて、同じ方向を眺めていく。

同じ言葉を返してくれるナツに、胸いっぱいになって涙が込み上げていた。
愛しているなんて言えなくても、きっとそれで伝わっているんだ。

「やっぱり、泣き虫なお兄ちゃんは変わらないですね。」
そんな俺の涙を小さな指でぬぐいながら、彼女はそう笑った。



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