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停まる前にフラフラ立ち上がり、ドアが開くと同時にぴょんと跳ねるように降りた。

ここの駅も乗った駅に負けないくらいさびれている。駅員のいない無人駅だ。

駅から少し行けば家に着く。

その少ししかない道のりの中に私の場所は存在する。

早くしないと日が暮れてしまう。

急ぎ足で駅の裏手に出る。

そこから小さな車の通れない道に入ると、長い石の階段にぶつかる。

山肌に無理矢理埋め込んだような石の階段は、見上げるほど高い。

階段の両脇をずらっと囲むように桜の木。

満開を過ぎた今でも、ヒラヒラ舞う花びらが美しい。

速く駆け上がってしまいたい衝動を抑え、ゆっくり一段一段上がっていく。

何度か上ってはいるが、毎回少し息が乱れる。

やっとの思いで階段を上りきると、すでに太陽はほとんど落ちてしまったらしく、紫色と黄色のモヤモヤとしたスッキリしない空があった。


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