妖精の涙
明が生きている限り、深雨が泣き続けることはありえなかった。
ならば、明を殺してしまえばいい。
男はそう考えたのだ。
ただ明を殺すだけでは意味がない。
深雨の前で殺さなければ、深雨の悲しみはそう続かないだろう。
だから、殺すチャンスは一度きり。
明たちが下校しているときだ。
登校しているときは人目に付きやすいから、殺しには向いていなかった。
自分が今日殺されるなんて、誰も思わない。
だから、明はいつも通りに深雨と登校した。