冷たい蜂蜜
見つけた
地元に帰った



駅に車を停めていた



車を走らせ家に向かう



家の中に入った



荷物を置いてソファーに座る



その時携帯が鳴った


駿人からメールだ。



「窓見て」だって



窓を覗くと駿人がこちらの窓に向かって手を振る





私は外に向かった


階段を下りて外に出た


駿人のいる方に走った


駿人は笑って「おかえり」と言った





「なんでここにいるの?」


「海月さ、わからない?」


「わからない。なに」


「手出してよ」



私はそっと手を出す


駿人は私の手のひらになくしたリボンのネックレスを落とした




「え?」


「この前出掛けた時道に落としてて、すぐ海月のだと思って」


「ありがとう」


「どういたしまして、お前ん家に入っていい?」


「うん散らかってるけど」


「じゃあ入るよー」




駿人が家のなかに入った



「全く散らかってないじゃん!」


と言ってソファーに座る





彼はおもむろにテレビのリモコンを取り、テレビをつける。





なにか話題作りの為なのか?

少し不審に思ってしまった



普段テレビを見ないのにって心の中で彼を観察する。





今の季節は夏に近くなってきた春



今の時刻は夕方の5時



外はまだまだ明るい



テレビは全部ニュース番組で溢れる時間帯だ




ニュースが流れてきた




中学生誘拐事件




彼はそのニュースを聞き私に話し掛ける




「なんで誘拐なんてするんだろう、すっごく胸が痛くなる」




そういうところが昔からなんにも変わらない




胸が痛くなると聞き感情豊かだと思ってしまった





実際に知らない人に誘拐されたらすごく怖いし、頭の中が真っ白になり、信じたくないだろう。





だが、恵まれた環境に置かれず望んだ生活することも許されない子供にしたら救いじゃないかと思ってしまった。




なんて不謹慎なんだろう。



殺されたくない、早く家に帰りたい。



この感情は幼少期の私にはない



なぜなら、母の元にいたくないからだ。




母は父と離婚してから私に対してきつく当たった。




私は4人姉弟の末っ子




私の10歳以上離れた姉と兄と2つ上の兄。



私は比較の対象。



特に2つ上の兄と私は。




毎日他の姉弟と比較され、脅される。


脅しの言葉は

「親権は私が持ってるからいつでも親権手放して施設にやれる」


この言葉は毎日毎日聞かされ我慢するしか生きる方法はない。



父も遠くに旅立ち、私には生きるか、死ぬか。


2つの選択肢しかない。



私がずっと貯めていた貯金を母に奪われたことがあったが私は恨めない。



恨んではいけない



小学校4年生の頃から貯めていた。



貯めていた理由はばあちゃんの住む九州に行くためだ。




家出して全て捨てるつもりで貯めた数十万は一瞬にして母の物となり、どこかに消えていった。




中々小遣いが当たらなくても、諦めずにずっと貯めた数十万。



今となってはもうどうでもいい




そうやって自分をビリビリに切り裂いた。




















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