冷たい蜂蜜
車に乗り家に帰る


家には帰りたくない


どこかに行こうか


でも行くところはない


と言うより行きたい場所がない


海、高台、誰もいない場所。


海が見える橋に行こう


あそこだったら高台もあり、あまり人もいないそうしよう。


車を走らせ夕日が照らす道路


夕日は嫌いだ


帰らなくちゃと思う時間


昔を思い出す


気持ち悪い


朝日だったら誰にも会わずに済む



って思いながら車を走らせた。


30分ほど車を走らせたらやっと見えた海。


やっぱり人はいない


ここはやっぱり落ち着く、ここだったら大丈夫。



海の匂い


嫌いな夕日


好きなものと嫌いなものが合わさるとより一層好きなものが輝いて見える



私の名前の由来


父がつけたんだっけ


夜の海で見た三日月


月が照らす海はほんの少しだけ海が輝いて見える。


少しの闇でも私が月になり闇を照らし、私が闇のような海になった時闇から這い上がれるような子になるように、という意味だった。


だから「海月」


私は今闇に近い状態なのだろう。


そんな父はもういない


母は「海月」という名前を可愛くないと言ったそうだ。



名前に可愛さなんて必要なのだろうか?

そう問いたい。



私はそこまで自分の名前を嫌いではない


母は私の名前が嫌いみたいだが。


だから私を呼ぶ時は海月とは呼ばない


大体「あんた」「お前」



どう呼ばれようとも私はどうでもいい



母は嫌いだから


消えて欲しいから。


私には必要のない邪魔な存在。


考えるのも無駄だ。




じーっと海を見つめる



私も海の生き物だったらきっと、もっと綺麗なものを見つけれたかもしれない。



なんてただの期待だよね



なんで海を好きになったのだろう?



理由を探しても見つかるはずがない



理由を求めて歩いてもどこにも落ちていないからだ。



お腹空いた



なにか食べたい



でも食べるものはない



早く行こう





その時私はまた大事なものを手放した。










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