強引上司に捕まりました


「天野、これから飯行こう。あすかは今日実家に戻ってるから、家に帰っても晩飯ないんだよ。俺に付き合え」

真島課長が言った『あすか』というのは、彼が溺愛する奥さんの名前だ。

総務課にいた頃、一度お会いしたことがある。

芸能人かと思うくらいの美人さんで、強烈に覚えている。

「緒川も一緒にどうだ?」

突然話を振られて目を見開いた。

「いえいえ。私は遠慮します」

即座に真島課長のお誘いをお断りする。

エリート課長ふたりとご飯に行くなんて、とんでもなく恐れ多いことだ。

もし、誰かに見られでもしたら、社内でどんな目で見られることか、想像しただけで冷や汗ものだ。

それに、いくら上司と言えども私は男の人とご飯なんて行ったことがない。

なにを話していいのかわからないし、気まずいだけだ。

< 14 / 43 >

この作品をシェア

pagetop