強引上司に捕まりました


でなければ、こんな地味でなんの取り柄もない私を誘ったりはしないだろう。

一人暮らしするマンションと会社を往復するだけの日々。

特にこれといった趣味もないし、ジムやエステに通うようなこともしていない。

強いて言うなら、2ヶ月に1回のペースで美容室に行くくらい。

休日はどこに行くわけでもなく、平日に出来ない掃除、洗濯、料理をするだけ。

女子力はゼロだし、恋愛とは縁遠い生活を送っている。

誰に気兼ねすることもないから、ひとりは楽チンだ。

そういうわけで、私は先輩にお断りした。

「すみません。来週末は人事に助っ人を頼まれてまして、企業説明会に行くんです」

ちょうどよいお断りの理由があって、ホッと胸を撫で下ろした。



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