お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
やっぱり、成田さんはいい人だよね。

断るのは惜しいかな……。


同居を解消させるのが嫌なら、交際の申し込みを断るべきだと思って結論を出しかけたのに、再びどうしようと迷いが生じた。

それと同時にスマホが電話の着信音を鳴らすから、ビクリと肩を揺らす。


これはもしかして、彰人だろうか……?


成田さんを気にしたら「出ていいよ」と言ってくれたので、私は「すみません」と謝り、スマホを手に店を出る。

画面を確かめると、やはり彰人からの着信で、電話に出るなり《どこにいる?》と苛ついた声で問われた。


「アルゴというワインバーだけどーー」


そう言った途端に、《ワインバー?》と驚いたような声で復唱され、《まさか、男とふたりで飲んでるんじゃないだろうな》と鋭い指摘を入れられた。


隠す必要性を感じず、「そうだよ」とサラリと答えたら、スマホの向こうでガチャンと音がする。

コップかなにかを床に落として割ったような音だ。


「なに割ったの!? 大丈夫?」と彼の怪我を心配したが、問いかけとは別の返事をされる。


《チームの飲み会と言ってたよな。男とふたりとは、どういうことだ?》
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