お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「俺に惚れたか?」と問う声は嬉しそうだけど、それは彼の企みに沿う言葉を私が言ったからであって、私たちの場合、これをきっかけに恋が芽生えることはない。


「ううん、惚れてない。負けたくないもん」と即答すれば、そう言われることがわかっていたかのように彼はクククと忍び笑いをする。


「意地っ張りの負けず嫌いめ」

「お互い様でしょ」


そんな口論がおかしくて一緒に笑えば、胸が明るく弾むのを感じた。


彼との同居生活は楽しいと、今なら自信を持って言うことができる。

彰人の隣は居心地がいいのだ。

広い背中は温かくて、なんて気持ちいい……。


『大好き』と叫んだ時から、私の鼓動は高鳴って静まる気配がない。

この甘くてふわふわした気持ちは、どこからくるものなのか……。

それは彼に恋したからではないと、自分に言い聞かせる。

たまチョコの開発という、長年の夢が叶えられようとしているから、こんなにも嬉しいんだよ……そう思い込むことにした。

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