お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
不愉快そうな顔と命令口調で言われても、頼まれている気がしない。

けれども私が淹れるお茶が美味しいと言われたら、「もう、仕方ないな」と言って了承し、口元が緩んだ。


朝食後はコーヒーを自分で淹れて飲むことを日課にしていた彼だけど、先週私がお茶を出したらすっかり気に入ったようで、毎朝緑茶という習慣ができつつあった。


食器棚から取り出したのは、私が自宅アパートから持ってきた小さめの急須。

それに、ひとり分の玉露の茶葉を適量入れる。

茶葉はもちろん、私の実家から取り寄せたものである。

次に沸騰させたお湯を湯飲み茶碗に数回移し替えて、六十度くらいまで冷まし、急須に注いだ。

そこで、しばし待つ。

玉露場合は二分ほどと、長めの浸出時間が必要である。

そうすることで旨味成分が引き出されるからだ。

煎茶や、新茶、ほうじ茶や玄米茶なども、それぞれ適切な湯温や浸出時間があり、それを私は熟知している。

茶葉を見れば、最適な淹れ方が自然と頭に浮かぶのだ。

美味しいお茶の淹れ方が、体に染みついているといった方がいいかもしれない。
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