お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
そう考えて、噂を広めてしまった成田さんは、考えなしのアホだったのかと蔑んだが、言わねばならなくなった彼側の事情も思いついた。


無理やり聞き出されたのかな……。


あの飲み会では、私を口説くと言って、成田さんはカラオケルームから抜け出した。

後日、結果はどうだったのかと、興味津々の三班のメンバーに尋ねられ、彼はきっと困ったことだろう。

『振られてしまって』と、最初はそれだけで話を終わらせようとしたのかもしれないが、間もなくして突然、私に異動辞令が下り、成田さんと離れることになった。

それは極めて不自然で、彼と私の間に一緒に働くことのできないなにかが起きたせいだと、勘ぐられたのではあるまいか。

三班の係長をはじめとした班員十数人から追及された成田さんは、『実は織部さんを口説いていたら、専務が迎えにきて……』と話してしまったのかもしれない。

そして、その噂は三班のメンバーの口から、それぞれの知り合いへと広まったというわけだ。


焦りの中で噂が広まるに至る経緯を推測し、納得して心の中で『そっか……』と呟いた。

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