お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
入社時から製品開発部に行きたいと言い続けている私なので、それを聞いた茜は「残念だったね」と一応同情してくれる。

しかしすぐに口元に笑みを取り戻し、「でも私は莉子と一緒の部署がいいから嬉しいな。こうして一緒にランチに入れるし。ね?」と、結論をいい方向へと変えてしまった。


そう言われると、私も茜と一緒にいられるのは嬉しいけど……。


彼女にかかれば、同居生活の不満を簡単かつ気楽に解消させられそうになり、急いで苦労話を追加する。

彼との生活でエネルギーを要するのは、なんといっても口喧嘩である。


今朝は目玉焼きにかけるもので喧嘩して、昨夜は二十一時半頃に帰宅した彼と、テレビのチャンネル権を巡って口論した。

休日には強制的に料理教室を開催され、だしの取り方に始まり、肉じゃがや鯖の味噌煮など、和食の定番メニューを教え込まれた。


正しい調理法を習得できるのはありがたいと思うけど、命令口調で横柄な態度はどうにかならないものか。

俺様がわざわざ教えてやってる、という雰囲気を出されると、『下手下手、言うな。彰人の求めるレベルが高すぎるだけでしょ!』と反抗したくなるというものだ。
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