10歳の年の差はどうやって埋めますか?
17
「どうして無理してでもアパートに帰って来たか分かる?」

二人で布団にくるまれていると、総は思い出したようにそんな事を聞いた。

「悠希との初めてはここしか考えられなかった。」

私は総の様子を伺うが、目はうつろだ。

「俺の、俺だけの場所で…、学生時代からの俺の城で悠希に甘えてもらいたかった。そうでないと悠希はきっとリラックスして、俺に身体を預けてくれないと思ったから。でもあんなに手こずるなんて、想定外だった。」

総は私の顔を見てあからさまに溜息をつく。

「総はそんな事まで考えてくれていたの?今日泊まらずに帰って来ようと言った理由はそれなの?」

総はすべてお見通しという感じだったのだろうか。

「当たり前だろう。悠希は俺が守るって決めた女性なんだぜ。例え10歳年下でも俺は男だからな。」

総は誇らしげに笑う。

私の大きな壁は完全に崩れ去った瞬間だった。

私の目に涙が浮かぶ。

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