奪われたファーストキス
あの時小さな時
これは幼稚園の時だった。
僕が年中の頃、初めて片思いをされたのは...。
まだ、恋愛が何かわからない頃に、山田咲から話しかけられた。あの頃は、友達と外で遊ぶだけ。ただそれだけが楽しかった。だから、女子に面と向かって話あったのは、これが初めてだった。
「私、裕太くんのことが好きなんだ〜。」
と、言われたのが。
好き、好き、好きって、なんだろう。
その時は、ただただそう思った。
僕には好きという気持ちがないのに、向こうは一方的にこちらのことが好きだった。

幼稚園の遠足で、大きな公園に行く時も、なぜか滑り台で抱き合って乗っていた。周りの人はどう思っていたんだろう。
好きでもないのに、女子と抱き合って、それをみられたと思うと、本当に恥ずかしい。

翌年、バレンタインデー。
これがなんの日かわからなかった僕は、咲がチョコの入った箱の中に隠していた手紙を見て知った。
まだ、幼稚園だから、読みにくかっただろうが、
「ゆうたのことすきけんこんしよう」
と書いてあったのは今でも覚えてる。

あのとき、僕がトイレに入るときに、なぜか咲がやってきた。そしたら鍵を閉めて、キスをしてきた。
はじめてのイチゴのような、レモンのような、よくわからない香り、甘さがあった。
これがファーストキスだった。
それ以来はキスは一度もなく、、、
あれからというものの、毎年毎年、学校が別でも2月14日にうちに来て、チョコをくれた。
しかし、僕が彼女を好きになったことはなかった。

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