結婚のその先に
「栞菜」




啓吾は運転が上手で自分の車とは思えないような乗り心地の良さにいつの間にか栞菜は眠っていた。




「ごめんなさい!」




再び勝手に眠っていたことを謝り目線を下げると膝には啓吾の上着がかかっていた。




昔から啓吾は気が利いて優しく栞菜を守るようにそばにいてくれた。




この9年



本当はすぐにでも飛行機に乗り追いかけたい衝動に襲われながらもずっと我慢して耐えてきた。




その頑張りと緊張が一気にほどけるようで何とも言えない心地よさを感じる。



「着いたぞ」




栞菜が景色を見るとそこは栞菜の兄のお墓だった。
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