結婚のその先に
その日から啓吾は毎日日付が変わってから帰宅した。栞菜はいつも寝たふりをする。

ちらりと啓吾を見ると疲れた顔をしていた。

…疑いたくないのに、疑わずにはいられない。

ふたりでいてなにもないの?
結婚式を目前にして未練が膨らまない?
後悔が膨らまない?

失うかもしれない怖さが栞菜を襲う。

結婚前に、送り出さなくてはならなくなりそうで栞菜は毎日怯えていた。
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