結婚のその先に
栞菜は洗面台で啓吾のワイシャツを洗っていた。真っ赤な口紅は擦っても擦っても落ちない。

自分の手が真っ赤になっても口紅は落ちない。

「ふっ…」
堪えられなくて泣き崩れると自分の左手の薬指の指輪が目に入った。

啓吾とお揃いの指輪。



ふたりを繋ぐのはこれしかない…。

指輪に触れながら栞菜はすがるように泣いた。
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