結婚のその先に
「栞菜」
秘書室で資料作りをしていると啓吾が入ってきた。

「お疲れ様です」
座っていた栞菜が立ち上がろうとすると
「立たなくていい」
と啓吾が近づく。

そして啓吾を見る栞菜のほほに啓吾が手を伸ばす。

「痩せたか?顔色も悪いし。」
「ここの明かりのせいだと思います。」
そっけなく返す栞菜。

「ごまかされるわけないだろ。誰だと思ってんだ。」
そう笑う啓吾の顔があまりにも優しくて思わず目をそらした栞菜に、啓吾がそっと口づける。
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