結婚のその先に
「藤崎さん」
医師に呼ばれて病室を出る。

病院に栞菜を運び込んだとき、栞菜は血の気のない顔で意識がなく出血していた。

覚悟などできず動揺したまま医師の診断を聞く。

震える手をあわせて指輪をなぞった。



「極めて危険な状況でした。現在も完全に脱したわけではありません。全身の機能低下と流産の危険性は改善していません。しばらく入院をして経過をみますが絶対安静です。奥さまの身体的、精神的負担は一切かけないようにお願いします。どこかかかりつけの病院はありましたか?」
「…すみません。わかりません。妊娠も知ったばかりで…。」
啓吾は不甲斐なさにうなだれた。
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