結婚のその先に
「やっぱりだめだなぁ。俺。すぐにでも背中をおさなきゃならなかったのかも知れないけどできなかった。」
栞菜が退院してすぐ啓吾は良輔のお墓の前に来ていた。
「でも間違ってないと思ってる。栞菜はいままで自分で道を選べなかっただろ。だから選んで欲しかった。栞菜が選ぶ道を知りたかったんだ。子供ができて、栞菜を繋ぎ止められるとかずるいこと考えたのは栞菜には内緒にしてくれよ。」
優しい風が吹く。

「安心しろ。どんなかたちであれ俺は栞菜を支え続けるし、求められればいつだって抱き締める。守る。幸せにする。」
啓吾はうつむいた。

「でもさ。俺を選んで欲しいよなぁ。そばにいたい。やっぱり離れたくない。子供のことだって…ずっと栞菜のとなりで、すぐそばでその成長に付き合いたいよ。」
啓吾はしばらく良輔の前から動けなかった。
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