結婚のその先に
「はんかち、10枚は欲しかったな」




そう言って隣で啓吾は笑っていた。




笑いながらもずっと手を繋いでいる。




「お化粧直してくるね」




栞菜はぼろぼろになったメイクを直しに席を立ち上がった。




『ガタンッ』足元がふらついた栞菜をすかさず啓吾が支える。




「泣きすぎちゃった」




栞菜は真っ青な顔で啓吾に苦笑いを見せる。




栞菜を椅子に座らせ正面で膝をつき心配そうに見つめる啓吾を真っ赤な口紅の女性が唇をかみしめ見ていた。
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