結婚のその先に
「でも…。啓吾さんはニューヨークから帰って来て自分の定めに従う選択をした。」

急に翠の表情がくもる。

「ニューヨークにいたときの彼は自由にいきいきとしていた。でも、日本に戻ることが決まってからは人が変わったようにつまらない人になってしまった。」

栞菜の知らない啓吾の時間。

「背負ってしまった運命にもがく彼も、その運命に従うことを決めた彼も私はそばで見てきた。」


栞菜だってそんなことは想像ついていた。
< 97 / 279 >

この作品をシェア

pagetop