SKETCH BOOK



担任の話はとても長くて、
眠くなりかけながら話を聞いていた。


その後はすぐに入学式で、
校長先生の長々とした式辞や、


似通った話をする祝辞なんかを聞き流して、
この日はなんとか乗り切った。


ボヤボヤしていたせいで
友達なんか作れなくて、


気付いたら何個かのグループが
出来上がっていた。


あたしって、ダメだなぁ。


いつもスタートが遅れてしまう。


派手に化粧をした子たちや、
趣味の話なんかをするグループを


外側から眺めるだけになってしまった。


あたしの高校生活、一体どうなるんだろう。


「梓―。ごめん!今日
 親睦会があるんだって。先に帰ってて」


「えー、百合いないの?」


「ごめん!クラスのみんなで
 カラオケなの。ごめんね」


「いいよ。楽しんで」


「ありがとう。じゃあ、またメールする!」



百合が教室からいなくなると、
何もすることがなくなる。


カバンに教科書を詰め込んで、
あたしは辺りを見回した。


やっぱり、遅かった。


今更どのグループにも入れないよ。


とりあえず席についてみんなを眺めていた。


早く帰ろうかなぁ。


でも、帰ってもまた
不機嫌なお母さんがいるだけだもんなぁ……。


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