あなたの命、課金しますか?


「なに話してたの?」


京子が私たちの間に入ってくる。桃子がすぐ答えた。


「渚、なんかボーッとして変なんだ」


「もう、幸せボケってやつ?」


肘でつつかれ、2人はにやけている。


少し遠い席から、裕也が振り返った。


優しい顔をして微笑んでいる。


変わっていないこと__それはまだ、私と裕也が付き合っているということだ。


どうして???


いくつものクエスチョンが頭をぐるぐると回る。


鏡でちゃんと確認した。


でももしかしたら、自分の目だけブスに写っているだけじゃないかと勘ぐったが、すぐに思い知った。


周りの私を見る、なんの感情も込められていない目。


思い出したんだ。


久しく忘れていた、ブスを見る視線。


やっぱり私は【ちゃんと】ブスに逆戻りしている。


それなのに、どうして⁇


あの後すぐ、私は解放された。


裕也は私が南くんを殺したと思っている。


自分への愛の証として、殺したのだと。


南くんの死体をどうしたのか、怖くて聞けない。ただ行方不明になったと学校では囁かれていた。


だからだろうか?


私が裕也への愛を証明したから?


いや違う。


【三鷹裕也が一生、私のことだけを愛し続ける】


この願い事のせいじゃないのか?


いくら考えても答えは出ない。


だが、三鷹裕也という冠が、私の地位を押し上げていることは確かだ。


それによって生まれる【軋轢(あつれき)】もあった。



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